ツキ板の材料となる原木は、日本国内・世界各地から集められ、検疫を合格した後、製材所で『フリッチ』と呼ばれる形に製材されます。この際、職人が丸太の特性を読み、節や欠点が極力外れるように木取りを行います。
“ツキ板”(突板)とは、天然木を薄くスライスした紙のように薄い板のことをさします。
家具や建築物の内装、楽器の表面材として使われており、日々の暮らしの中でも目にする素材ではありますが、知名度はそれほど高くはありません。
ここでは、私たちが製造している建築内装用のツキ板化粧板(天然木化粧板)を例に、原木からどのようにしてツキ板ができ、生活の中で利用されているのかを紹介します。
ツキ板の製造は、大きく分けて『原木の製材』『スライス』『貼り』『施工』4つのシーンに分けられます。
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原木の製材
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スライス
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貼り
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施工
ツキ板は0.2㎜にスライスするため、一枚毎に少しずつ木目が変化していきます。
こうした木目の変化を活かすためにスライス後のツキ板の順番は常に管理されており、工事現場においても、決められた場所に順番に施工していくことで、木目の変化を楽しむことの出来る空間が作られています。
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1.原木の製材
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2.スライス
鉋(かんな)を大きくしたような機械『スライサー』でフリッチをスライスしていきます。この際、ツキ板がバラバラにならない様、一枚一枚順番に重ねていきます。このスライスされたものを『ツキ板』と呼び、一枚の厚みは0.2㎜が基準となっています。
スライスには大きく分けて3種類の方法があります。
このスライスを行う向きの違いで、『板目』『柾目』『ロータリー杢』を作ります。まずは、『板目』
木目といえばこちらをイメージする方も多いと思います。
年輪に対して接線方向にスライスすることでタケノコ状の木目が現れます。-
原木
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製材
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スライス
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ツキ板(板目)
次に、『柾目』
こちらは年輪に対して直角方向にスライスして作ります。
板目のようなタケノコ柄は現れず、素直でまっすぐな表情が特徴です。-
原木
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製材
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スライス
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ツキ板(柾目)
3つ目は、『ロータリー杢』です。
こちらは丸太を回転させて表面をカツラ剥きにしてつくります。
現れる木目も独特で、一度に幅の広いツキ板がとれます。-
原木
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スライス
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ツキ板
(ロータリー杢)
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3.ツキ板貼り
実際にツキ板を貼っていく際は、下地板の幅と貼枚数に合わせてツキ板の裁断を行った後、職人二人一組で端から決められた順番で貼っていきます。
樹種ごとの特性や水分による伸び縮みも考慮に入れて丁寧に作業を進めていきます。ツキ板の貼り方には代表的なストレート貼のほかに様々な貼り方が存在し、より自然な雰囲気を作るランダム貼りや装飾性を高める放射貼りなど数多くの貼り方が存在しています。
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ストレート貼
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ランダム貼り
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ブック貼り
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斜め貼り
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ヘリンボーン貼り
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放射貼り
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市松貼り
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枡貼り
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逆枡貼り
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ダイアモンド貼り
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逆ダイアモンド貼り
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4.施工
最後に現場の決められた場所に製品を貼り合わせていくことでツキ板を用いた化粧壁が完成します。
事前に施工会社様と打合せを行い、パネル1枚毎に番号の割り当てを行います。打ち合わせた番号通りに施工を行うことで、木目の変化が美しい壁面を作ることが出来ます。化粧板の固定方法はボンドTM工法(コニシ株式会社)を推奨しています。
化粧板の裏面に仮止め用両面テープを貼り、専用のボンドを塗布していきます。貼付けは複数人で行います。目地幅を調節しつつ浮きが発生しないよう注意して化粧板を貼り付けます。
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5.完成
このようにして、ツキ板が私たちの生活の一部になります。
スライスから完成まで徹底した材料管理を行うことで、天然木の美しい木目を活かした空間が出来上がります。